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目の黄ばみ:原因と対応

目が黄色くなってきていませんか? 目が黄色くなる原因には黄疸のほかに薬や疾患などがあり、深刻な病気の可能性もあります。

この記事では、目が黄ばんできた場合に知っておくべきこと、やるべきことを網羅します。

目が黄色くなる理由は?

強膜 (白目) は通常白く見えるのが 普通です。白目が充血して赤くなったり変色した場合は、すぐに眼科医に相談して原因を突き止めてもらいましょう。

眼球の前面が変色する症状は、医学用語で 結膜黄疸と言い、白目が黄色く黄疸している状態をさします。(ほかに、強膜黄疸 という呼び方もあります。)

目の黄ばみ(結膜黄疸)は一般的に黄疸の症状の1つで、ビリルビンと呼ばれる色素濃度が高まることで皮膚や目の色を変色させます。

黄疸は新生児、子供、大人と年齢に関係なく発生しますが、通常、年齢層によって原因が異なります。 黄疸そのものは病気ではなく、肝臓や胆のう、胆管における機能障害の症状です。

古くなった赤血球や異常な赤血球が構成する黄色っぽいオレンジ色の老廃物、ビリルビンを体から排除するのも肝臓の機能の1つです。

通常は、肝臓が血液中のビリルビンを濾過して胆汁を形成し、それが胆管を通って隣接する胆のうに送られそこで貯蔵されて、最終的には体外に排泄されるようになっています。

しかし肝臓に問題がある場合、血液中のビルビリンが上手く濾過されず蓄積され、目や皮膚が黄色味を帯びるようになります。ビルビリン濃度が高いと、茶色っぽくなります。

黄疸の発症は緩やかで、最初のうちは気づかないこともあるかもしれませんが、一番最初に現れるのが白目です。

アメリカ眼科アカデミー通信委員会の議長であるタミー・タン氏(OD, FAAO)曰く、「白目には皮膚のような色素がないため、黄色の変色がより顕著に表れるのです」。

同氏はまた、黄疸によって目の色は変色するものの、視力に影響はない、と付け加えています。

目の黄ばみに関連する疾患

黄疸は、新生児に比較的多く見られる症状です。

アメリカの疾病管理予防センター(CDC)によると、全新生児の約60%が黄疸を発症します。未熟児は肝臓もまた未熟で、ビリルビンを処理できるほど十分成熟していないため、リスクが高まります。

軽度の乳児黄疸は、何もしなくてもたいてい自然治癒しますが、20人に1人は医療的介入が必要になります。中度の黄疸における標準的治療法はビリルビン値を下げる光線治療で、通常は早期に回復します。

黄疸は、もう少し年長の子供や大人ではあまり一般的ではありません。この場合、治療が必要となる重度の基礎疾患が疑われます。新生児同様、子供や大人の黄疸も、真っ先にチェックするのは肝臓です。

肝臓の感染や炎症(肝炎)は臓器にダメージを与え、ビリルビンを適切に処理する機能に影響を及ぼして黄疸を引き起こします。

体の免疫系を攻撃する自己免疫疾患も、肝炎の原因になります。肝細胞がA型肝炎やB型肝炎、C型肝炎のウイルスに感染し、急性または慢性肝炎にかかると白目も黄色く変色します。

肝臓から胆のうに胆汁を運ぶ胆管のいくつかに胆石が詰まり、閉塞することがあります。胆汁が上手く流れなくなると、血液中に胆汁が溜まり、この状態を 閉塞黄疸と言います。

肝硬変は肝臓の瘢痕化末期で、ビリルビンを濾過する肝臓機能が低下します。肝硬変の原因は肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患および慢性アルコール中毒など色々ですが、これらすべて、目の黄ばみを引き起こします。

ほかにも、目の黄ばみを引き起こす疾患として以下のようなものがあります:

  • 急性膵炎(または膵臓の感染症)

  • 一部のがん(肝臓がん、膵臓がん、胆のうがんなど含む)

  • 溶血性貧血(先天性血液疾患で、血中に健康な赤血球が欠乏して発症します)

  • マラリア(蚊が媒介する血液感染症)

  • 特定の血液疾患 (鎌状赤血球貧血など、赤血球の生産や寿命に影響を与える病気です)

  • まれな遺伝性疾患 (肝臓のビリルビン処理方法に影響を与えます)

市販のアセトアミノフェン(過剰に服用した場合)や処方薬であるペニシリン、経口避妊薬、クロルプロマジン、アナボリックステロイドなど、特定の薬も目の黄ばみを引き起こすことがあります。

瞼裂斑:目の黄ばみではありませんが…

目の黄ばみと関連づけられることが多いのが、瞼裂斑です。

瞼裂斑とは、強膜(白目)の一部に形成される黄色味を帯びた増殖組織で、黄色っぽく見えます。

目の表面全体が黄色くなるわけではなく、瞼裂斑の組織で覆われた部分だけが黄色くなります。

瞼裂斑は、太陽からの強い紫外線を大量に浴びることに起因すると考えられています。瞼裂斑が大きくなり違和感を覚えるようになった場合には、手術で取り除くことが可能です。

関連項目を参照:瞼裂斑(目の表面にできる黄色いこぶ)

目の黄ばみの治療法

目の黄ばみの治療は、根本的な基礎疾患に注目する必要があります。

「目の黄ばみそのものを治療することはできませんが、ビリルビン濃度の原因である基礎疾患を治療すれば、症状は改善されるはずです」とタン氏は言います。

目の黄ばみは最も目につきやすい、分かりやすい症状ですが、目の黄ばみに伴うそのほかの症状も、原因となっている基礎疾患の診断のためには重要です。

目の黄ばみに伴うそのほかの症状としては、皮膚のかゆみ、胃の膨満感、倦怠感、発熱、白色便、暗色尿、食欲不振、吐き気、急激な体重減少などが挙げられます。

目の黄ばみの治療法は、血液中のビリルビン濃度を測定する検査や全血球計算測定、そのほかの肝臓検査などいくつかの検査結果を基準に判断します。

検査結果のほかに、症状やこれまでの病歴、身体検査、場合によっては画像検査なども適切な診断をするための役に立ちます。

目の黄ばみの原因がC型肝炎やマラリアなどの感染症であることが判明した場合は、抗生物質や抗真菌薬、抗ウイルス薬が処方されます。

アルコールやドラッグ中毒が関与していると診断された場合は、まずこれらの物質を断つことから治療が始まります。

食事療法も重要な役割を果たします。消化された栄養素のほとんどが肝臓で処理・代謝されますが、消化の悪い食品を摂取した場合、肝臓に負担がかかります。これには大量の精製された糖分や塩分、飽和脂肪などが含まれます。

黄疸がある人は水分補給をしっかりと行い、果物や野菜、全粒粉、脂身の少ないたんぱく質、ナッツ類や豆類など、肝臓に優しい食品を中心に食べるようにしましょう。

治療の効果が出て肝臓が治ってくるとともに、黄疸や目の黄ばみも治まります。

胆管閉塞のような場合は、外科手術での治療が必要です。

目の黄ばみ? 眼科医にかかりましょう

目の黄ばみが気になったら、すぐに眼科医などのアイケア・プロの診療を受けてください。

眼科検査の結果基礎疾患が疑われる場合は、内科医あるいはそのほかの専門医に紹介されます。

目の黄ばみを軽視しないでください。肝臓病やそのほか基礎疾患がある場合には、臓器損傷を含む深刻な合併症を防ぐため、早期の診断と治療が重要です。

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